【短】猫かぶりの彼は、甘いものがお好き




その後の手際が素晴らしかった。

私からスカートを受け取った彼女は、洗面器で丁寧に手洗いすると、型崩れしないように綺麗に干した。

そして、台所へ行ったと思えば美味しそうなクッキーと紅茶を持って来る。




「ごめんなさい、今からアイロンかけるので、良かったらこれどうぞ」


「美味しそう……」


「えっと、この制服は……桜崎高校?……あ、完全に自己紹介忘れてました。住沢高校2年の小野山(おのやま)在花(ありか)です」


「あ、私は桜崎高校1年の香田葉澄です」


「え、年下だった……何なら先輩かなあぐらいに思ってたのに……」


「あはは、たぶんメイクのせいかじゃないかと。うちの学校校則緩いから」


「そうなんだ。あ、そういえば私、秋に友達と桜崎の文化祭行ったよ。すごく豪華で楽しかったなあ」




高校では部活に入っていないから中学時代のイメージだけど、先輩というのは厳しいものという感覚が私の中にある。

だけど在花さんは、すごく話しやすい人だ。