【短】猫かぶりの彼は、甘いものがお好き





ぶつかってきたのは、制服姿の女の子だった。

私の通う桜崎高校の制服とは違う。友達の茉莉花ちゃんと同じだから、偏差値の高い住沢高校の人だ。

荷物のバッグからは野菜が見えているから、きっとショッピングセンターの食品売り場で買い物をした帰りなんだろう。



その子は、私を見て真っ青になる。




「スカートがっ……!」


「え?あ……」




言われて気がつく。

何とも運の悪いことに、私の転んだ先はどろどろの水たまりになっていた。

スカートがびしゃびしゃになってしまっている。




「本当にごめんなさい!」


「いえ、怪我はないし……」


「うちここから歩けるところにあるので来てください!急いで洗います!」




彼女は立ち上がった私の手を引っ張る。

可愛いけど大人しそうな印象の子……と思ったけれど、意外に力が強い。もちろん私ほどじゃないけど。


少し迷ったものの、大人しく彼女についていくと、やがて小奇麗な学生向けっぽいアパートに到着した。




「私ここで一人暮らししてるんです。部屋着貸すのでスカートこっちに!」


「あ、はい」