とはいえ、柳沢くんが私のことを好きなのはちゃんと本心。岸井さんと同じく、ツンデレっぽいところがあると思う。
「さっき岸井に捕まってたし、何か言われたんじゃないの?」
「違う!……違わないけど違う!」
「は?」
「えっと……うん。隠し事はある!あるけど言わない!」
「そこは認めるんだ。変なところに潔さ発揮したね」
隠し事があることは隠せなくても、その内容は絶対に悟らせない。
柳沢くんに渡すチョコのことで悩んでますなんて言えないからね!
「……ということで、今日私一人で帰るね!バイバイ!」
「ちょ、何が『ということで』なわけ?……本気で走られたら絶対追いつけないんだけど……」
柳沢くんの声を背中に、私は走る。
体力お化けの香田葉澄、足も速いです。



