【短】猫かぶりの彼は、甘いものがお好き




ならば別の呼び方を……と、私は腕を組んで考える。




「『かなくん』は茉莉花ちゃんが呼んでたな。じゃあ『奏多』……あ、高森くんと被る」


「……呼び方の被りそんなに気になる?」


「だって柳沢くんは私のこと『ハス』って呼ぶでしょ?この呼び方柳沢くんだけだから特別感あって嬉しいんだよね……。だから私も唯一の呼び方を……」


「ああ、そう……」


「うーん、でもやっぱ『柳沢くん』でいっか」


「諦めるの早いな。……ってか、それが一番皆と被るだろ」




柳沢くんは、堪えきれなくなったように、声をあげて笑いだした。


……む、これはたぶん。




「柳沢くん、今私のこと馬鹿だと思ったでしょ!」


「はは。いいや?可愛すぎて逆に腹立つなって思った」


「なっ……!」




待って不意打ち……。


たぶん顔が真っ赤になっているであろう私を見て、柳沢くんは実に楽しそうに笑う。

……でもまあ、誤解させた負い目もあるし、笑われてあげよう。