【短】猫かぶりの彼は、甘いものがお好き




声が微かに震えている。

さっきの行動を思い出して、本気で後悔しているらしい。




「私は……ちょっと嬉しかったけど」


「は?」


「だって、ヤキモチ妬いてくれてたってことでしょ?」


「……知らなかった?俺めちゃくちゃ嫉妬深いんだけど」


「えへへ、知ってたかも」




私がそう言うと、柳沢くんはようやく手を引っ込めて顔を上げた。

「だろうね」と言った口元には、柔らかい笑みが浮かんでいた。




「ねえ柳沢くん。これからは……奏多くんって呼んだ方がいいかな?」




私は、少しだけ迷ってから言った。


浩斗さんのことを名前で呼んでいたと気付いたときから、ずっと引っかかっていた。

私はずっと、柳沢くんを苗字で呼んでいる。



だけど、試しに呼んでみた名前は何だかしっくりこなくて。

たぶんその原因は……。




「うーん、だけど『奏多くん』呼びだときっしーさんと被ってるな……」