ちょっと前まで気まずい思いをしていたことなんて忘れて、私はすっかりインタビュアーの気分になる。
だって気になるんだもん。
「ハスミさん。お願い、勘弁して」
袖で口元を隠す浩斗さんの声が小さくなっていくのもちょっと面白い。
にやにやしながら、その照れ顔をもうちょっと見るためのぞき込もうとした。
──その瞬間だった。
いきなり、背後から誰かに力強く腕を引かれた。
「うわっ」
「ハスミさん?」
思いがけない出来事に、バランスを崩しそうになる。
どうにか転ばず持ちこたえるも、腕を引いてきた誰かに、今度は乱暴に肩を抱き寄せられた。
……よく知っている人の匂いが、鼻をかすめた。
「やなざわ、くん……?」
見上げて目に映ったのは、これ以上ないぐらい怒った顔をした柳沢くん。
真っ直ぐ浩斗さんのことを睨んでいる。
「人の彼女とずいぶん距離が近いみたいだけど、どちら様?」
猫をかぶった優しい声ではもちろんなく、素の声をさらに一回り冷したような声だ。



