じゃあ聞かないでよ……なんて思ってはいけない。
これが岸井まいなのだ。最近わかってきた。
「まあでも?仕方ないからあなたにも何か買ってあげても良くてよ、葉澄?」
「え?」
「奏多くんへのチョコを買うついでに何か買ってきてあげるって言ってるのよ!」
「友チョコってこと?」
「なっ、違っ……あ、あなたみたいな一般家庭の娘なんて、どうせ安物のチョコしか食べたことないでしょ?可哀想だからちょっと良い物を恵んであげるって意味よ!希望があるなら言いなさい!」
あ、ツンデレ発動。
可愛い……なんて思ってにやけるとまた怒られてしまうので、私はスマホを触って誤魔化す。
そのまま検索エンジンでチョコレートを検索して、可愛らしいトリュフの詰め合わせを見つけ出し、岸井さんに見せた。
「じゃあこれがいい!」
「……あなた、そんな顔して意外と遠慮しないわよね」
「え?」
言われて、改めて確認した。
……一箱7,000円。



