【短】猫かぶりの彼は、甘いものがお好き




……何となく予感はしてたけれど、浩斗さんと二人になるとその場が途端に気まずくなった。

表情の険しさが人見知りからくるというのは本当らしく、目もあまり合わせてくれない。


在花さん早く戻ってきて……

ちょっとそわそわしながら店の中をのぞいたりしていると、浩斗さんが意を決したように話しかけてきた。




「あの……」


「はい!」


「在花は特売とか好きで……ごめん」


「あっ、いえ。すごくしっかりしてて素敵な人ですよね、在花さん。しかも優しいし可愛いし」


「うん……」


「ふふっ、浩斗さんは在花さんのことが本当に好きなんですね!」




在花さんへの褒め言葉を素直に肯定されたので、思わず笑ってしまった。


……すると、浩斗さんの顔がみるみるうちに赤くなっていく。

そうなれば、殺し屋かと思うような冷たい目つきは見る影もない。




「もしかしなくても、めっちゃ照れてます?」


「……」


「え、え、あの、ちなみに在花さんの一番好きなところはどういうところですか?」