【短】猫かぶりの彼は、甘いものがお好き





不思議なもので、間に在花さんが入ると、私も浩斗さんと穏やかに会話ができる。




「へえ。ハスミさんは一週間ずっと在花とお菓子作りの練習してたんだ」


「はい!在花さんのおかげでどうにか人にあげても大丈夫なレベルに到達しました!」


「葉澄ちゃん頑張ってたもん。最初はどうなることかと思ったけどね……」




いや本当……心からありがとうございました。


そうやって何度もお礼を言いながら歩くうちに、駅が見えて来た。

そろそろお別れだな、と思ったちょうどそのとき。

在花さんが「あっ!」と声をあげた。




「待って、ここのアルミホイルとラップ、めちゃくちゃ安い!」




在花さんが見ていたのは、薬局の店頭に盛るように置かれ、「大特価!!」と書かれた商品。

心なしか目がキラキラしている気が……。




「二人とも、ささっと買ってくるからちょっと待ってて!」




在花さんはそう言うと、返事も聞かずにアルミホイルとラップをいくつもかかえて、薬局の中へ入っていった。