彼氏と対照的に、いついかなる時も良い人感を漂わせている在花さんは、可愛らしい笑顔で言う。
「今日で特訓最後だよね。もうなかなか会わないだろうし、良かったら駅まで送らせてくれない?」
「え、でも……。このアパートの最寄り駅定期圏外なので、隣の駅まで歩きますけど……」
「全然いいよ。そっちもそんなに遠くないもん」
確かに、在花さんとのお別れは名残惜しいものがあるけれど。
彼氏さん放っといていいの……?
私がそう迷っていると、浩斗さんが言った。
「じゃあ、俺も一緒に行く」
……そうきたか。
在花さんもちょっと驚いた顔をする。
「え、でも浩斗くん、レナさんのお手伝い……」
「姉さんはちょっとぐらい俺に頼らず働くべきだから平気。もうすぐ暗くなるし、ハスミさんを送ってった後、在花が一人で戻ってくるのが危険でしょ」
なるほど一理ある。
思ったより気が利くタイプだな、目が殺し屋王子!



