そんなことを聞いてみれば、在花さんは顔を赤らめて答えた。
「実は私も、付き合ってる人がいてね。その人に」
「へえ!どんな人なんですか?」
「私の料理を美味しそうに食べてくれる人、かな。学校では『冷酷王子』なんて言われてるけど」
「王子?」
「ふふ、ちょっと前までファンクラブもあったんだよ」
王子と呼ばれるからには、猫をかぶってる柳沢くんみたいな人なのだろうか。
というか、王子って呼ばれる人種は案外そんじょそこらに転がっているもの?
実は知らないだけで、一校につき二、三王子ぐらいいたりして。
……とか考えたりもした。
それから。
さすがに教えてもらってばかりでは悪いと思った私は、得意のナチュラルで透明感のあるメイクを在花さんに伝授することにした。
というのも、在花さんが……。
「バレンタイン、ちょっとぐらいおしゃれしてチョコ渡したいなって思ってるんだけど、前に友達がやってくれたメイク、濃くてあんまり似合わなくて……」



