【短】猫かぶりの彼は、甘いものがお好き





在花さんは、翌日から早速特訓に付き合ってくれた。

学校終わりに、走って在花さんの家まで通う毎日。休日はほぼ丸一日お世話になった。


……正直、最初自分のお菓子作りの才能のなさを甘く見ていた。

簡単な生チョコから……と教えてくれたにもかかわらず、わたしが生成したものは、何だか美しくない物体だった。


しかも、在花さんが作った、デパートで買ったと言われてもまず疑わないであろう綺麗で美味しそうな品を隣に並べられるから、惨めさが引き立つ。




「あ、あれ……葉澄ちゃんメイク上手だし、器用だと思ったんだけどな……」


「食べ物を作るとなるとダメっぽいです……」




困り顔をしていた在花さんには、とてつもなく申し訳ない気持ちになった。


とはいえ、在花さんは根気強くコツを教えてくれて。

特訓を始めて四日目ぐらいには、どうにか人にプレゼントしても嫌がられなさそうなレベルにはなった。


──この数日で、在花さんとは色々な話をした。




「在花さんは誰にチョコを渡すんですか?」