地味子ちゃんはイケメン男子に寵愛されて


とりあえず、ずーっとまっすぐ行けばいずれ階段が見えてくるよね……?


「あれ、結々ちゃん早いね」


不安に思いながら歩き出すと、ちょうど明空さんが部屋から出てきた。


優しく笑いながら声をかけてくれる。


「お、おはようございます、明空さん」


「うん、おはよう」


明空さんに挨拶をすると、挨拶を返してくれた。


「せっかくだし、一緒に行く?」


「は、はい。お願いします。昨日葉室さんに案内してもらったばっかりなんですけど、自分で辿り着ける自信がなくて……」


「ははっ、ほんと度が過ぎるくらいの方向音痴っぷりだよね。俺の周りには今までいなかったよ、そういう子」


「で、ですよね……」


私は小さい頃からよく迷子になっているけど、大人に近づいても方向音痴は治らなかった。


もう多分、一生治らないよね……