「まぁ、ここで過ごしてたらいずれ覚えられるんじゃない?」
「そ、そうですよね」
さすがにもう迷子になりたくない。
早く覚えないと……
「哀、結々!案内終わったー?伊織がご飯作ってくれたよー」
決意したところで、呉乃さんが呼びにきた。
「伊織の料理できたみたいだし、急ぐよ結々」
「は、はい」
軽く小走りして1階にあるあの奥の部屋へと向かった。
「あ、おかえり。案内は終わった?」
奥の部屋に入ると、明空さんに声をかけられた。
「4階以外は一通り案内したよ」
「そっか。案内ありがとう、哀。結々ちゃんは覚えれた?」
「えっ、あ、それは……」
まさか私に話題を振られるとは思ってなくてあたふたしてしまう。


