「わ、分かりました」
「頼んだぞ」
要件だけ言うと、先生は去っていった。
少し感じる視線を気にしないようにしながら、せっせと口に運ぶ。
半分くらい食べたところで、お弁当箱をしまった。
もう行かないと……
少し焦った私は場所を確認しないまま、事務室へと目指した。
それはいいんだけど……
「あれ?ここ、どこ……?」
全く見慣れない場所に来てしまった。
自分の方向音痴ぶりを舐めていたかも。
昔から変わらなくて、今もそう。
入学したばっかりの頃は全然場所把握出来てなくて。
葉由ちゃんがいなかったら、毎回迷子になってたと思う。
今まさに迷子状態になっていて、途方に暮れそうになる。
いくら事務室に行ったことがないにしても、もう1年以上過ごしているのに場所が分かってないなんて……
はぁとため息をついた。
辺りをキョロキョロ見渡してみる。
全く来たことのない場所だし、何だかとても豪華なところだから、多分ここは別館。


