地味子ちゃんはイケメン男子に寵愛されて



「桜羽」


ホームルームが終わるなり先生に呼び止められて、立ち止まった。


な、何だろう……?


「は、はい」


「話したいことがある。ちょっと隣の空き家教室に来てくれないか?」


「わ、分かりました」


何を言われるんだろうって不安に思いながら頷いた。


隣の空き家教室に移動すると、先生は妙に神妙な顔をしておられた。


「あ、あの、な、何ですか?」


不安そうな顔をしていたからか、先生は小さく笑った。


「ははっ、すまんな。そんな体それたことじゃないから、身構えんでもいいぞ?」


その後すぐに真剣な顔になるから、あまり不安は拭えないけど……


本当に、何を言われるのかな……?


「今日からだいたい1週間、菖蒲が休みで寂しいだろう?しかも、席離れちゃったしな。その上、問題児のあいつらの席に囲まれるし」


あぁ、そっか。


心配されてるんだ……


この先生はどの子とどの子が仲が良いかをちゃんと把握していて、私が葉由ちゃんのことでショックを受けていることも勘づいているんだと思う。