これで、ようやく俺達にも姫が出来る……


安心した気持ちだった。


俺の中で、姫は必要だ。


姫は守らなければいけない存在で、姫がいるからこそ俺達は強くなれる。


身体的にも精神的にも。


俺はそう考えてる。


哀や由良は知らないけど、万弦は姫に関して無関心だし、伊織は女嫌いだから姫の必要性なんて感じてない。


その万弦が姫にするって言うんだ。


伊織は嫌でも反対出来ないだろうなー。


「あ、戻ってきた」


ちょうど伊織が戻ってきた。 


その顔は不機嫌じゃなかった。


本当に珍し……


伊織が女と一緒にいて、不機嫌じゃないとか。


「伊織、万弦が桜羽を姫に迎えるって言ってんだけど……」


哀はどこか遠慮がちにそう切り出した。


伊織が女嫌いなのは、俺達の中でも女達の中でも有名だからなー。


総長が言い出したことだけど、反対するかな……?


「うん。それいいと思うよ」