葉室さん、毒舌やめてください……
またグサリときた。
「桜羽さんは相当な方向音痴みたいだし、そのまま迷子になられても困るよ。ただ案内するだけなら、全然迷惑じゃないから大丈夫」
もう、これは甘えるしかない、よね……?
確かに自分で行っても、結局は迷惑をかけることになるだろうし……
「え、えっと。お、お願いします」
「ん、じゃあ、行こうか」
深々と頭を下げた私に明空さんは少し笑って、部屋から出た。
私もそれについていく形で部屋を出る。
―――その時。
「女嫌いの伊織が……」
「珍しい」
「うわ、意外すぎるんだけどー」
「まぁ、これで迷わないでしょ」
出ていった部屋で、口々にそう呟いていたなんて知りもしなかった。
「あ、あの。本当にすみません」
「謝らなくていいよ。ていうか、謝る必要ないし」
つい癖になってしまっている。
で、でも、迷惑をかけてしまっていることは確かだし、変ではないよね……?


