「そして、ここは俺達throneの縄張り。ほとんどの奴が知ってるから、ここに来る奴はほとんどいないんだよねー」
な、なるほど。
だから、人気がないんだ……
納得すると同時に、恐れを感じた。
どうして、そんな場所に私は足を踏み入れてしまったんだろう……
「なぁ、あんたの名前は?」
軽く落ち込んでいると、射抜くような視線を向けられて、強張りながら何とか自分の名前を口にした。
「わ、私の名前は、さ、桜羽結々、です」
怖くて少し声が震えながらも、嘘の名前を言う必要もないから、本名を名乗った。
だ、大丈夫だよね……?
本名言ったからって、特に何もないよね……?
「あー、地味羽って呼ばれてる奴か」
まさか、そのあだ名を知ってるとは思わなくて、呆然とした。
う、嘘……
知られてるなんて……
「確かに、地味すぎるくらいの地味」
うぅ、グサリとくる……


