「誰?」
突然人が入ってきたというのに、落ち着いた声。
でも、その声には当たり前だけど、警戒心もあるように感じられた。
「あ、えっと、その……」
いたのは全員男の人で、一斉に視線を感じて萎縮してしまう。
「じ、事務室に行こうとしたんですけど、迷ってしまって……あ、あの、事務室の場所を教えてもらえませんか?」
たどたどしくなったけど、頑張って要件を告げた。
すると、訪れた沈黙。
それに耐えられなくなって、思わず俯く。
な、何か反応してほしいよ……
「プッ、事務室に行こうとして、ここに着いたの?」
どこか嘲るような響きの声に、顔を上げた。
「どんだけ方向音痴なわけ」
そう言い放った人の顔はもの凄く呆れ気味。
他の人も似たような表情をしている。
でも、全くその通り。
入学したばっかりってわけでもないし、もう1年経っているのに、今更迷うなんて……


