「わ、私実際下手で……こ、今回は初めて勝てましたけど、それまではずっと負けてました」
「本当に下手だった」
「へー、今回初めて勝ったんだー。凄いじゃん。ね、由良?」
「うん、凄いと思う。ゲーム勝つの難しい……」
「それさ、由良も下手な部類だからじゃない?」
「こーら、哀はそーいうこと言わない」
褒めてくれた呉乃さんと真菰さんは優しいな……
葉室さんは優しいというか正直だよね、うん。
仲良さそうなやりとりを聞いていた私だったけど、そこでふと気づいた。
あれ、そういえば……
「あ、あの、紫堂さんは……」
「あぁ、万弦はまだ寝てるだろうね」
「うん、絶対寝てる……」
「まー、万弦って哀より朝弱いしさ」
「は?僕、別に朝弱くないんだけど」
「いやいや、哀って起きたばかりだといっつも機嫌悪いじゃん。そういう人を朝弱いって言うんだけどー」
「それ別に普通でしょ」
「普通じゃないんだよねー、これが。現に俺と由良は機嫌悪くないじゃん?」
「そっちが変わってるだけだと思うけど」


