地味子ちゃんはイケメン男子に寵愛されて



この学園は本当に広くて、建物が分かれているんだ。


普通、別館に行くことはない。


何のためにあるのかな?ってそう聞かされた時は思ったけど……


未だによく分からない。


「ここって、人いないのかな……?」


誰かに聞かなきゃ。

 
冗談抜きで、このままずっと迷い続けてしまう。


館の違う別館にたどり着く自分の方向音痴ぶりに呆れながら、戻ることも出来ず歩き続けた。


「……い」


「……るし」

 
すると、奥の部屋から話し声が聞こえてきた。


あ、誰かいるみたい……


安心すると同時に、不安を感じる。


どんな人がいるんだろう……?


でも、もう聞くしかないから。


覚悟を決めて、声がする1番奥の部屋へと向かった。


たどり着くと、教室とは違った豪華な部屋だった。


行き止まりでこれ以上進むことは出来ない。


ゴクリと唾を飲み込んだ後、恐る恐る扉を開けた。


その際にガラガラと音がして、誰かが入ってきたことに気づいたようだった。