「は、はい!」

奈々は驚いて立ち上がる。

「成り行きとはいえ、悪かったね。良かったら今夜、ホテルのフレンチレストランに青木くんと二人で行くといい。私からご馳走させてもらうよ」
「ええ?!いえ、そんな!とんでもないです」
「いや、とにかく1度きちんと話をしてみたらどうかな?もちろんその後、君がどうするのかは君次第だ」
「…はい、分かりました。私もきちんと話をしたいと思います」

奈々が落ち着いた声でそう言うと、一生も頷いてみせた。

「青木くんも、いいね?」
「はい!いつもの不甲斐なさは捨てて、青木 優太、男らしく頑張らせて頂きます!」

皆から拍手が起こる。

「あらあら、なんだか若いお二人の初々しさに、こちらまでお裾分けを頂いた気分ね」

今井が明るい声で言う。

「課長!お願いですから頑張って下さいよ」
「そうですよ。俺らの昇進が掛かってるんですからね?」

加藤と山下が拝むように詰め寄る。

「あ、ああ。分かった」

青木は、真剣な表情で頷いた。