「ゆっくりね、よいしょっと。大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
ベッドに腰を落ち着け、小雪はふうとひと息つく。
クリニックからまたタクシーに乗り、家まで送ると言う山下に、小雪は何度も、一人で平気ですと断った。
だが、アパートの2階に住んでいると話すと、階段上がれないでしょ?と、結局自宅まで付き添ってもらうことになった。
「あの、本当にありがとうございました。あ、今タクシー代お渡ししますね」
鞄から財布を取り出すと、山下は手で遮った。
「いいって、それくらい。ケガ人なんだから、遠慮しないで」
「でも…すごく高くなっちゃいましたよね?」
「だから、いいの!それに…」
そう言って山下は、わざと低い声を出す。
「人の厚意を、金で買っちゃいけないぜ?お嬢さん。ここは男にカッコつけさせてくれよ」
「……………」
小雪は、なんとも言えない表情で苦笑いする。
「やべ…俺、心折れたかも」
先生んとこ、戻ろうかな…と呟く山下に、小雪は慌てて取り繕う。
「あ、と、とにかく、ありがとうございました」
「とにかくね…ハハ」
力なく笑ってから、山下はローテーブルにレジ袋を置いた。
「あ、はい。大丈夫です」
ベッドに腰を落ち着け、小雪はふうとひと息つく。
クリニックからまたタクシーに乗り、家まで送ると言う山下に、小雪は何度も、一人で平気ですと断った。
だが、アパートの2階に住んでいると話すと、階段上がれないでしょ?と、結局自宅まで付き添ってもらうことになった。
「あの、本当にありがとうございました。あ、今タクシー代お渡ししますね」
鞄から財布を取り出すと、山下は手で遮った。
「いいって、それくらい。ケガ人なんだから、遠慮しないで」
「でも…すごく高くなっちゃいましたよね?」
「だから、いいの!それに…」
そう言って山下は、わざと低い声を出す。
「人の厚意を、金で買っちゃいけないぜ?お嬢さん。ここは男にカッコつけさせてくれよ」
「……………」
小雪は、なんとも言えない表情で苦笑いする。
「やべ…俺、心折れたかも」
先生んとこ、戻ろうかな…と呟く山下に、小雪は慌てて取り繕う。
「あ、と、とにかく、ありがとうございました」
「とにかくね…ハハ」
力なく笑ってから、山下はローテーブルにレジ袋を置いた。



