魔法のいらないシンデレラ 3

やがて迎えに来た優也の母親に、小雪は笑顔で保育の様子を伝える。

母親の、楽しかった?の問いに、優也も、うん!と頷く。

「優也くん、また遊ぼうね!」
「うん。こゆきせんせい、またねー」

優也とハイタッチをしてから、手を振って見送る小雪を、山下は離れたところから見守っていた。

扉が閉まると、小雪はホッとして肩の力を抜く。

「さ、行こう。荷物は?」

山下は、すぐさま小雪に近付く。

「え、あ、あの…」

ためらう小雪に代わって、美和がロッカーから小雪の荷物を取り出す。

「小雪先生をよろしくお願いします」

美和から鞄を受け取ると、山下は頷いた。