いよいよ京都を発つ日。

ホテルをチェックアウトすると、少し観光地巡りをして昼食を食べてから、帰りの新幹線に乗り込んだ。

すみれは、最初の30分こそ窓の外を眺めていたが、やがて一生の膝の上ですうーっと眠りに落ちた。

「さすがに疲れたかな」

すみれの頭をなでながら、一生が優しく微笑む。

「そうね。でもとっても楽しかったわ。おばあ様にも清河さんにも会えたし、麗華さんにもね」
「ああ、そうだね。赤ちゃんが産まれたら、また来よう」
「ええ」

一生は、そっと瑠璃の頭を抱き寄せると、自分の肩にもたれさせる。

楽しかった旅の思い出と幸せを噛み締めながら、窓から見える夕焼けの景色を心に刻んだ。