「わあ!これが、しんかんせん?これにのるの?」

ホームに滑るように入って来た新幹線に、すみれは圧倒されたように一生に聞いてくる。

「そうだよー。さ、乗ろう!」

一生と手を繋ぎ、すみれはドキドキした様子で車内に乗り込む。

窓際の席に座って外を眺めると、ちょうどホームのベンチに座っていた小さな男の子と目が合う。

男の子は、バイバイとすみれに手を振ってくれる。

すみれもおずおずと手を振った時、音もなくスーッと新幹線が動き始めた。

「と、とうさま!うごいた?うごいたの?」
「あはは!そうだよ、動いたよ」

すみれは緊張気味に外を眺める。

「す、すごいのね。はやくて、とんでいるみたい」

一生は、瑠璃と顔を見合わせて笑った。