「お父さん、お母さん、ただいま。黙って東京に行ったりして、ごめんなさい」
「まったくだ。びっくりしたぞ」
「それより足のケガは?大丈夫なの?」
「うん。普通に歩くのは平気」
「そう。それなら良かったけど」

すると、少し離れて様子を見ていた山下が、小雪の隣に並んで頭を下げる。

「初めまして、山下と申します。昨日はお電話で失礼致しました」
「いえ、とんでもない。こちらこそ、娘がご迷惑をおかけしました。さ、中へどうぞ」

小雪の母は、皆を家の中へと促す。

お茶を出され、手土産を渡した後、改めて山下は名刺を差し出した。

昨日電話で話した内容をもう一度説明し、小雪にケガをさせた事を詫びる。

小雪の両親は、いえいえと手を振って恐縮した。