魔法のいらないシンデレラ 3

「お風呂、あったまった?足首大丈夫?」
「りょ、稜さん…」

小雪は、足首の痛みも忘れて山下に抱きついた。

「こ、怖かったよー。うわーん!」

ボロボロと涙を溢す小雪に、山下は面食らう。

「え、いったいどうしたの?小雪ちゃん?」
「だって、だって、お風呂から出たら稜さんいなくて、代わりに泥棒が入って来て」
「え?泥棒が入って来たの?いつ?」
「だから今、ガチャッて玄関が開いて、私、怖くて」

山下は、は?とすっとんきょうな声を出す。

「今玄関を開けたのは、俺だよ?泥棒じゃない」
「え、稜さん、泥棒じゃないの?」
「当たり前だろ!しかもここ、俺のうちだよ?」
「ああ、そっか!」

そっかじゃないよ、と山下は脱力した。

「小雪ちゃんさあ、前から思ってたけど、見た目は大人で中身は子どもなの?」
「え、それは、あの有名なアニメのこと?」
「逆だよ!あれは見た目が子どもで…って、違うから!」