魔法のいらないシンデレラ 3

(この格好で大丈夫かな…)

ドキドキしながらリビングに入ると、山下の姿はどこにもなかった。

「え?なんで…」

稜さん?と呼んでみても返事はない。

(うそ、稜さんどこに行ったの?私、ここに一人で取り残されたの?)

不安に駆られていると、ガチャッと玄関のドアが開く音がした。

(えっ!もしや、泥棒?どうしよう、怖い…。都会の犯罪って、怖いよー)

どこかに隠れようと後ずさりした時、リビングのドアが開いた。

(い、いや!来ないで!)

悲鳴を上げたくても、恐怖で声が出ない。

小雪が立ち尽くしていると、ドアを開けて入ってきた山下が、お!と小雪に気付いた。