ミーティングでは、前回候補に挙がった物件について、一生が早瀬と下見に行った事が報告される。

「ここは、築10年の物件なんだが、全戸で千近くもあり、とても大きなコミュニティマンションだ」

そう言って、撮影してきた動画を見せる。

「全戸80平米以上、バリアフリーも徹底されている。敷地内にコンビニ、公園、小児科や内科のクリニック、共用施設としてスポーツジムにカラオケルームまである」

おおー!と皆は動画を見ながら、感嘆の声を上げる。

「凄いですねー、お部屋も綺麗だし」
「ここだけで、一つの街みたいですね」

一生は、頷いて続ける。

「駅からは離れているんだが、その分静かな環境だ。学校や図書館なども近くにあるし、歩道も広くて整備されている。このマンションを取り扱っている不動産会社と話をしてみたが、少しずつ空き部屋が出始めて、だいたい30戸は確保出来そうだ。ここなら、高齢者の介護世帯と子育て世帯の両方に向いている。1階の1部屋を改築して、うちの社員が集まれる集会室にし、そこにヘルバーやベビーシッターを派遣しようかと思っている」

皆は、うんうんと頷きながら、熱心に耳を傾ける。