「それで、話って?何かあった?」

小雪の様子をうかがいながらそう言うと、小雪は、少し考えてからキュッと膝の上に置いた両手を握りしめて話し出した。

「はい、あの、まずはお詫びさせて下さい。先日居酒屋で酔っ払った私を、タクシーで送り届けて下さったのですよね?ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした」

そう言うと深々と頭を下げる。

「いや、お詫びなんてそんな。大した事してないよ?」
「いえ。先日だけではなく、7月に初めてあのお店に行った時も、稜さんが酔った私をうちまで送って下さったのではないですか?それに、お財布の中のお金が全然減ってなくて…。もしかして、食事代もタクシー代も稜さんが?」
「いや、でもあの、気にしなくていいよ」
「そんな訳にいきません!」

小雪は、語気を強めてそう言ってから、またしょんぽりとうつむく。