「へえー、なかなかいい店だな」
「大学の時、行きつけだったんですよ。ここの焼き鳥とおでん、うまいですよ」
「いいな!じゃあそれと、取り敢えず生ビールで」

二人は、お疲れ様と乾杯すると、早速料理を食べ始めた。

「うまい!確かにこの焼き鳥、最高だな」
「ですよねー?追加で頼みましょうよ」

山下は、スタッフを呼ぼうと顔を上げる。

その時、若い女の子二人が、加藤の後ろの席に案内されて座るのが見えた。

「なかなか雰囲気いいねー。素朴な木のぬくもりって感じで」

山下の正面に座った女の子が店内を見渡しながらそう言うと、向かい側のもう一人の子が、でしょ?と答える。

「この間、職場の人に連れて来てもらったんだ。つくね串とか、美味しいんだよー」

(ん?この声、なんか聞いた事あるような…)

だが、山下からはその子の背中しか見えない。

気のせいか、と山下はスタッフに料理を注文した。