甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

「どうして、僕を好きになってくれたの……?」

 不安そうな、けれど気になっている様子の声。

 その声がどこか……嬉しそうに聞こえたのは、私の気のせいだろうか?

 一瞬だけそんな思いを抱くも、すぐに先輩の疑問に戻る。

 どうしてと理由を聞かれるのは、自然だ。

 だって、単刀直入に好きだと言ってしまったから。

 今思えば、結構馬鹿な事をしたと思う。

 ぼんやりと考えながら、私はついさっきまで考えていた内容をそのまま口に出した。

「先輩は誰にでも優しくて、私の憧れなんです。」

 二個違うだけなのに、こんなに完璧な人っているんだなって思った。

 最初こそは、純粋な憧れだけだった。

「入学式の日から先輩は、私に優しくしてくれたんです。今でも、こうして私とお話してくれるのが嬉しいんです。」

 人見知りと恐怖症を発症していたけど、生徒会長だった先輩だけは真っ先に緊張をほぐしてくれた。

 それ以来も時折私とお話してくれたり、一緒にお昼を食べたり、お家の近くまで送ってくれたり……。