甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 その声は……聞いた事がない、先輩の苦しそうな声だった。

 切なげで泣きそうで、こっちまで辛くなりそうなもの。

 そうさせているのが自分だと気付くと、余計に辛くなってしまった。

 先輩は私を、好きでいてくれる。いてくれていた。

 そんな事実は、夢だと思ってしまう。

 ……夢だと、思わせないでほしい。

「もちろん、です。私は先輩のことが好きで、もう壊れちゃいそうなんです。」

 叶わない恋だと思っていた。先輩は人気者だから。

 凄い人だから、私よりももっと良い人を好きになるんだって思ってた。

 でもまさか、そんな人と両思いになれていたなんて。

『悪いけど、小森さんはこっちだから。』

 あの時の言葉が、今になって蘇ってくる。

 今だとその言葉の意味が、分かる気がした。

「良かった。嬉しい。」

 私の返事を聞いた先輩の力が、更に強くなる。

 ドキドキと心臓はうるさいけど、そのうるささと先輩の体温が嘘じゃないと伝えてくれた。

「返事、改めて言わせて。」

 ほんの少し、お互いの顔が見える位置で。