甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 私の手には、チョコレートの入った袋が握られている。

 バレンタインの日に私は、告白しようとずっと決めていた。

 私が先輩を好きになったきっかけは、ほんの些細な事から。

 誰にでも優しくていろんな人の憧れの的で、何でもできる完璧な人。

 ……昔から私は、少しだけ人が苦手。

 いじめを幼い頃に受けていた事もあって、ほんの少しだけ人間不信になっている。

 今でも、初対面の人と話せない。

 だけど、颯斗先輩とは……自然に話す事ができたんだ。

 先輩だけには……恐怖心がなかった。

 生徒会長だった先輩は、私にとって手が届かない存在。

 ……それでも、気持ちを伝えたかった。

 先輩は私を見てくれはしない、振られるのなんて目に見えている。

「……小森、さん。」

 颯斗先輩の、動揺している声が聞こえる。

 分かっていた。気持ちを伝える事で、先輩を困らせるって。

 やっぱり、言わないほうが良かったかもしれない……っ。

 そう思った時、先輩の純粋な声が尋ねが私の耳に届いた。