甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 こんなので、先輩と向き合えるんだろうか。

 心配と不安が渦巻き、そっと目を伏せる。

 けれどそれを阻止するように、大好きな人の名前が聞こえた。

「片桐颯斗。」

 ……っ、やっぱり先輩のこと、好きだ。

 今だって、ステージに立つ先輩を見るだけで胸が苦しい。

 苦しくて苦しくて……どうしようもない。

 卒業証書を受け取る先輩の姿が様になっていて、ほとんどの女子生徒はうっとりしている。

 私だって、例外じゃない。

 先輩がかっこよくて仕方なくて、拳をぎゅっと握りしめる。

 もしかすると、こうして先輩を想うことができるのは今日までかもしれない。

 そんな事思いたくはないけど……どうしても、考えてしまった。

「……っ、颯斗、先輩。」

 小さく呟いた声は、きっと誰にも聞こえない。

 拾われない……はずなのに。

「っ……なん、で。」

 私の視線の先は、言わずもがな先輩へと。

 その先にいる先輩は……私に、笑みを向けてくれている気がした。

 どうして先輩はいつもいつも、優しいのか。