甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

《卒業式が終わった後、屋上に来てください。 片桐》

 片桐……つまり、颯斗先輩だ。

 そう書かれたお手紙が入っていて、もしかしてと考えを巡らす。

 ……バレンタインの時の返事、くれるのかな。

 一瞬そう思うも、すぐ不安に駆られる。

 もし振られちゃったら? もう会えないなんて言われたら?

 ……分かっているはずだけど、それは辛すぎる。

 私は先輩にどうこう言える立場じゃない。先輩の考えなんだから、邪魔しちゃダメ。

 それは、はっきりと分かっていた。

 私がどうしたって、先輩次第だという事も。



 そわそわしている、体育館内。

 周りは私たち在校生と、卒業生の両親。

 そして目の前には……卒業生たちが、並んでいる。

「卒業証書、授与。」

 一つ一つ進められている式次で、涙腺が刺激される。

 もう既に泣いている在校生だっているし、卒業生の親もほぼ泣いている。

 私はこの後に先輩と会うから、泣かないように頑張った。

 だけど、少しだけ雫が零れる。

 ほんのちょっとだったから他の人にはバレていないと思うけど、我慢なんてできなかったんだと自分の弱さが分かった。