甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 誰も来ないであろう非常階段の影に、先輩を連れて行く。

 相変わらず先輩は、今から何を言われるか分かっていないみたい。

 きょとんとした顔をしていて、それを可愛いって思っちゃう。

「こんなところに連れてきて……もしかして、僕に何か用事、かな……?」

「よ、用事、ですっ……。」

 ここまで行動して、後に引けない。

 そう思ってしまうのは、恥ずかしさが私を襲ってきたから。

 今更遅いのに、恥ずかしさでどうにかなりそうだ。

 ……だけど、もう決意固めたんだから。頑張れ私。

 寒さでなのか緊張でなのか、はたまた両方か。

 かじかんだ手が、少しだけ震える。

 それでも私は自分の気持ちに負けないよう、思い切って隠していたものを先輩の目の前に出した。

「颯斗先輩、私ずっと先輩のこと好きなんですっ……! 私と、付き合ってくれませんか……。」

 最後のほうはか細い声になってしまい、一気に恥ずかしさが畳みかけてくる。

 ……告白って、こんなに恥ずかしいものなのっ……?

 人生初告白をしてしまった私は、先輩に手を伸ばしながらぎゅっと目を瞑る事しかできない。