甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 だから……叩かれるかも、しれない。

 そうなっても僕は、何も言えない。当たり前だから。

「何で……どうしてさっき、あんな事を……。」

 ……震えてる小森さんの声が、はっきりと聞こえる。

 だけどその中に……恥じらいが見えたのは、気のせいだろうか?

 顔を見て、確認しようとする。

 ……っ、えっ?

 振り返るとすぐに、小森さんの姿が視界に入った。

 それと同時に僕は……抑えきれない独占欲に、拍車がかかってしまった。

「……せん、ぱい……?」

「やっぱり……小森さんは、可愛い。」

「っ……は、颯斗先輩っ……!」

 もうダメだった。抑えきれなかった。

 自制が……できなかった。

 小森さんの顔は真っ赤で、怒っているというよりかは恥ずかしそうな表情。

 どこかに嬉しさも見えた気がして、可愛いで埋め尽くされた。

 ……あぁもう、こんなんじゃダメなのに。

 そう考えるも、気持ちは流れ出したら止まらないもので。

 小森さんを抱きしめる腕に、力がこもりそうになる。

「は、離してください……っ!」