甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 僕はそうなりたくて、なったわけじゃないのに。

 でも僕は弱いから、そうは言えない。

 あははと笑って、取り繕う事しかできない……誰よりも弱い、人間。

 だから僕は今までのようにこれからも、取り繕って頑張って生きなきゃいけないんだ。

 ……そう、思っていたのに。

『私なんかにも優しい……誰にでも優しいから、先輩は良い人だから……私が支えたいって思ったんです。何を言ってるんだって話だと思うんですけど、私は知ってるんです。』

 支えたい。

 その言葉を聞いたのは、両親以来。

 両親以外は僕のことを、何でもできる凄い人間だって思っているらしい。

 まさか両親以外で、僕のことを分かってくれる人がいたなんて……思いもよらなかった。

 小森葉月さん。僕が知っているのは、優しいって事だけ。

 小森さんとは関わる事がよくあった。趣味も合って、気兼ねなく話せる後輩。

 ……でも僕は、小森さんへこんな感情を向けていたんだ。

 “好き”っていう、気持ちを。

 それに気付いたのは、小森さんが告白してくれた瞬間。