僕は初めて、恋を経験した。

「颯斗先輩、私ずっと先輩のこと好きなんですっ……! 私と、付き合ってくれませんか……。」

 そう言われて、最初こそ戸惑った。

 好きとか、付き合ってとか……まだ分からなかったから。

 告白されたのは、これが初めて。

 よく男子と恋バナに付き合わされて「告白された事はない。」というと、いつも驚かれる。

 「嘘だろ!?」とか「なわけないだろ……ないよな?」とか言われる事がしばしば。

 そこまで驚かなくても……と、毎度のように思う。

 僕は人からの信頼を集めるのが得意で、一時期生徒会長も務めていた。

 それはそれで楽しかったし、将来にとってのいい経験になったと思う。

 でもその反面、誰にも助けを求められなかった。

 怖かった、助けを求める事自体が。

 大丈夫、心配しないでといつも言っているから尚更だった。

 誰にも、これからも弱いところは見せられない。僕はしっかりしなきゃいけないから。

 課せられた事はしっかりする。だけど、その疲れを癒す場所やもの、事がない。