甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

「あ、ありがとうございますっ……。いつもいつも……」

「僕がしたいだけだから気にしないで。女の子一人じゃ、危ないし。」

 ふふっと上品に笑って返してくれる先輩は、爽やかそのもの。

 こんなにかっこよくて素敵な人、他に居るんだろうか……?と本気で考えてしまう。

 それほどまでに颯斗先輩は、聖人みたいな人。

「じゃ、行こっか。」

「はいっ。」

 どうしよう、どのタイミングで言えばいい?

 完全に言うタイミングを失った気がして、心の中で頭を抱える。

 告白より全然緊張しない、するはずないのに……心臓がうるさい。

 頑張るんだ、私。

 告白できたんだから、誘う事くらいできるはず。

 言い聞かせるようにそう思うも、学校を出てからも何も言えない。

 言おうとしている唇は震えていて、言葉を発せられるかどうか。

 深呼吸をしようにも、きゅっと唇を引き結んでいるからできそうもない。

「……ねぇ、小森さん。」

 そんな中、先輩が恐る恐るといった様子で私の名前を呼んだ。

「ど、どうしたんですか……?」