甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 そうなれば、私一人で行こう。

 し、仕方のない事だしっ……。

 悶々と少し不安になりながら、だけど楽しみに放課後を待った。



 ……ふぅ、授業終わったぁ。

 今日の授業が一通り終わり、持って帰る教材をバッグに入れる。

 その間も私は、先輩にどう言おうかと考え込んでいた。

 さらっと言ったほうが良い? それとも、熱弁する勢いで?

 先輩には引かれたくないから、何かの話に沿って流れで言ったほうが自然かもしれないなぁ……。

 ぐるぐると似たような事を考え、バッグの留め金をつける。

「小森さん。」

 それと同時に、後ろの扉から颯斗先輩の声が聞こえてきた。

 も、もう先輩来たのっ……!?

 いつもはもっとゆっくりなはずなのに……と考えながらも、急いで向かう。

「茉優ちゃん、また明日!」

「葉月、頑張れ!」

 親指を立て、エールを返してくれる茉優ちゃん。

 私はそれに頬を緩ませながら、先輩の元に駆け寄った。

「先輩、今日早いですね。びっくりしちゃいました。」

「ごめんね、驚かせちゃったかな? ホームルームが案外早く終わって、今日は部活もないし……小森さんのお家に着く途中まで送らせてほしいな。」