甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

「いやいやっ、だから葉月が謝る事じゃないって! 葉月は私の為に背中を押してくれたんだから。」

「それでも……」

「だから大丈夫だって!」

 ね?と言わんばかりの茉優ちゃんに説得され、渋々首を縦に振る。

 正直、罪悪感が拭いきれない……。

 私がした事は正しかったのか、これで良かったのかと心配しちゃうから。

 でも茉優ちゃんがこう言ってくれてるから、気にしなくてもいいのかな……。

 だけど、やっぱりもやもやするっ……!

「あ、そうだ葉月。」

 その時、茉優ちゃんが何かを思い出したように私の名前を呼んだ。

「どうしたの?」

 何か気になる事があるのかな……?

 頭にはてなマークを浮かべ、茉優ちゃんの言葉を待つ。

 そして次の瞬間、茉優ちゃんがゆっくりと口を開いた。

「ホワイトデー、もうすぐだけど片桐先輩のってどうなったんだっけ? 確か卒業式に返事、聞かせてくれるんだったよね?」

「うん、そうだよっ!」

 片桐先輩。その名前が聞こえるだけで、大きく肩を跳ねさせてしまう。