甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 確か先輩、今日は部活ないって言ってたはず……。

 なら、今日にでも誘ってみよう。

 これで少しは、先輩も意識してくれるといいんだけどなぁ……。

 バレンタインの日から結構経っているけど、先輩とは今でも時間が合えば一緒に途中まで帰ったりする。

 先輩が好きそうなカフェにも言ったりするし、話だってよくする。

 ……つまり、私は先輩に意識されていないんじゃないか。

 チョコレートも渡して告白だってしたのに、先輩は多分揺るいでない。

 いつも通りの、ふわふわで掴みにくい先輩のまま……。

 それでも、今日のお誘いで意識してもらえたら……。

「うん、茉優ちゃんありがとうっ。今日、早速誘ってみるね!」

「その意気だよ葉月! また先輩の話とか教えてよね。」

「もちろんだよ!」

 よーっし、そうと決まれば放課後までにどんな言葉で誘うか決めなくちゃ。

 きっと先輩のことだから断られはしないと思うけど……心構えはしておかないといけない。

 いくら優しいって言ったって、先輩なりの事情があるかもだし……。