「茉優ちゃん、何の事……?」

 知ってるって……何を指しているんだろうか。

 茉優ちゃんが何を言っているのかが分からず、首を横に傾げる。

 もうそろそろお昼休憩も終わる、昼下がり。

 言葉に質問を返すと、茉優ちゃんは待ってましたと言わんばかりに教えてくれた。

 ……私にとって、耳寄りな情報を。

「葉月、バレンタインフラワーフェスタ、片桐先輩と行ったんでしょ?」

「うんっ! たくさんのお花があって、綺麗だったよ!」

 何を言われると思いきや、言われたのはフェスタの話。

 バレンタインフラワーフェスタというのは、バレンタインの期間だけに開催されるお祭りの事。

 お祭りって言っても夏祭りみたいな大きなものじゃなくて、この辺りで行われるお花の市みたいなもの。

 毎年はしていないけど、フェスタがある年は毎年行ってお花を購入している。

 そして今年は、颯斗先輩と一緒に行ったんだ。

 先輩もお花や植物が好きらしく、予定がちょうど空いてたから一緒に行った。

『先輩っ、あっちのも綺麗ですよ!』