甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 どうしたんだろう……?と、疑問を抱いたその時。

「お返しもさ……卒業式の時と一緒で、いいかな……?」

 っ……。

 片手で顔を隠すようにした先輩に、胸が否応なしに高鳴る。

 お返し、してくれるんだ……。

 私のこと、もしかしたら嫌いかもしれないのに返してくれるなんて……やっぱり先輩は優しい。

 どこまでも、本当に……。

「そんなのもちろんですっ……! ありがとう、ございますっ。」

「……っ。」

 あ、あれ……?

 先輩何だか、顔赤い……?

 さっきも顔が赤かったけど、今はさらに赤みを帯びている気がしている。

 気のせい、かな……?

 ほんの少ししか変わっていないから、違いなんてあまり分からない。

 その時、がやがやと他の生徒さんが登校してくるのが分かった。

 こ、こんなところに居たら迷惑だよねっ……。

 瞬時に切り替えをし、名残惜しさを感じながらも先輩に背を向ける。

「先輩、それでは失礼しますっ。」

「……うん。ありがとう、チョコレートも。」

 振り向きざまに見せた先輩の表情は、これ以上ないほどのキラキラスマイル。