甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 そんな私に、先輩は少しだけ頬を染めながら。

「さっきの告白の返事は……卒業式の時、でも良いかな?」

「あっ、そうですよね……。」

 そうだ、先輩はもう卒業なんだ。

 一か月もしない内に先輩は、この学校を去っていく。

 どうしてこんな時期になるまで、告白をしなかったのか。

 それは、私の心の弱さが原因。

 好きだって気付いたのは結構前の事なのに、告白をする勇気はなかった。

 今の関係が壊れてしまうのが怖くて、でも伝えたくて。

 心の矛盾が、ここまで期間を延ばしてしまった。

 でも、返事くれるんだ……。やっぱり先輩は、どこまでも優しい。

 私はもうそう言ってもらえただけで、十分な気がした。

「それと……」

「はい……?」

 口ごもった先輩は、やっぱり少し恥ずかしそうで。

 いつもは見ない先輩の姿に、頬が緩み切ってしまう。

 先輩はかっこいいって感じもあるけど、可愛い感じもある。

 ふわふわしていてつかみどころがなくて、感情を読むのが少しだけ難しいとも思ってしまう。