甘くて優しい青春恋物語 ~ビターでほろ焦れな恋は溺れるほどの愛で~

 告白の返事は、期待しないから……。

「これ、貰っても良いかな……?」

「もっ、もちろんですっ……!」

 その為に持ってきました……!とは言わず、震える手でもう一度差し出す。

 すると先輩は、ゆっくりと優しい手つきでチョコレートの入った紙袋を受け取ってくれた。

「な、中にはチョコレートが入ってますっ……! 良かったら、食べてください……。」

「……もしかしなくてもだけど、バレンタインだから?」

「そ、そうですっ!」

 よか、った……っ。何とか、受け取ってもらえた……。

 受け取ってもらえない事を想定していたから、心の底から安堵している。

 気を抜けば、へたり込んでしまいそうだ。

 そうならないように、頑張って全身に力を籠める。

 微かに震えている唇で、私は笑顔を作った。

「それじゃあ、私はこれで……」

「待って、小森さん。」

 え……?

「ど、どうしましたか……?」

 何で、呼び止めて……?

 どうして止められたのかが分からず、首を傾げる。

 疑問を抱え、はてなマークを浮かべる私。